船についての数学パズルです。
難易度
問題1:☆
問題2:☆☆
問題3:☆☆☆
問題1
毎日正午に、ビブンタウンから定期船がベクトルシティへ向けて出港し、(それと同時に)ベクトルシティからも定期船がビブンタウンへ向けて出向する。どちらの方向の航海にも、ちょうど3日と半日かかる。今日ビブンタウンを出港した定期船は、ベクトルシティへ到着するまで海上で何隻の定期船とすれ違うだろうか?
この数学パズル、解けますか?(一部変更)
解答
A.7隻
4隻と解答した方は間違いである。ベクトルシティから出発する定期船の数を考えると、出発日に1隻、1日経過後に2隻、2日経過後に3隻、3日経過後に4隻が出発。そして我々の船がベクトルシティに到着するためすれ違う定期船の数は4隻だと考えがちだが、これは定期船。我々の船がビブンタウンを出港する前から既に毎日船がどちらからも出ているのである。
4日前に出発した定期船は既にビブンタウンに着いているので、3日前、2日前、1日前に出発した定期船の数とこれから出発する定期船の数を足した7隻が答えになるのである。
問題2
今度は帆船がビブンタウンからベクトルシティへ往復する場合を考える。風がなければ往路と復路で航海時間は全く同じ。もし往路が向かい風、復路が追い風だった場合、無風の時と比べて航海時間は増えるだろうか、減るだろうか、それとも同じだろうか。
この数学パズル、解けますか?(一部変更)
ヒント
実際に数値を入れてみよう。
解答
A.:航海時間は増える。
直感的に考えると追い風に後押しされる分と向かい風から抵抗を受ける分が打ち消し合って同じ時間になるように思える。風速をWとすれば往路はWだけ遅くなり、復路はWだけ速くなる。
しかし、この問題で考えなければならないのは速度ではなく時間だ。速く進むことで節約できる時間は遅く進むことでかかる時間よりも短くなる。なぜなら遅く進む時間の方が長くなるからだ。
実際に数値を入れて計算すればよりわかりやすい。
無風状態での帆船の速度を20km/h(一時間で20km進む)とし、風速を10km/hとしてその風の速度が帆船に加算されると仮定してみよう。ビブンタウンとベクトルシティの距離は300kmとする。
まず無風のときは300÷20=15で片道15時間。つまり往復30時間であることが分かる。
次に風がある場合、行きは向かい風なので速度は20-10=10km/h。片道30時間かかる。この時点で答えが出ているようなものだが、一応帰りも計算すると20+10=30km/h。片道10時間であることが分かる。
こんな風に風が吹いていると大きな時間ロスになってしまうのだ。
更におまけ問題
問題2で向かい風や追い風ではなく横風が吹いていたらどうだろうか。
ヒント
距離はどうなるだろう?
解答
A.無風よりも時間がかかる。
ここからは自分で考えよう(考えるカラス風)
参考文献
アレックス・ベロス 「この数学パズル、解けますか?」 SBクリエイティブ株式会社 2018 問題60-61
Charles-AngeLaisant,Initiation mathematique,Hacette(1915)
William Poundstone,Are You Smart Enough to Work at Google?.Little,Brown and Co.(2012)